第4回 副業は違法ではない

問題なし働き方改革
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第3回までで、パラレルワークの重要性について考えてきましたが、第4回では、それを始めるにあたり、まだまだ、多くの方が誤解している、就業規則にある副業禁止について、2018年1月に大きな動きがありましたので、まとめておきます。

今回は、厚生労働省のホームページにある、「 副業・兼業の促進に関するガイドライン」 「モデル就業規則」の全文をみていただき、時間のない方は、そのポイントをまとめましたのでご覧ください。

尚、基本的な背景として少子高齢化対策にともなう「働き方改革」がこの動きの背景になっているように思います。

興味のある方はこちらも、ポイントとしておさえておくといいでしょう。

副業・兼業について

2017年3月 「働き方改革実行計画」をもとに、

2018年1月  

  • 副業・兼業について、企業や働く方が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめたガイドラインを作成
  • モデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除し、副業・兼業について規定を新設。

就業規則とは

また、就業規則というのは

「就業規則を作成し、又は変更する場合の所轄労働基準監督署長への届出については、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合 がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を記し、その者の署名又は記名押印のあ る書面(意見書)を添付しなければなりません

とあります。

つまり、企業側の一存で自由に作成・変更できる類のものではないということです。

よって、元気のいい、できれば優秀な仲間を募って、皆さん自身で変更を求めるのも十分ありな内容であることをあわせて記しておきます。

副業・兼業の促進に関するガイドライン のポイント

  1. 裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由
  2.  企業は、「裁判例を踏まえれば」、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。
  3. 各企業においてそれを制限することが許されるのは、以下の場合のみ
    • 労務提供上の支障となる場合
    • 企業秘密が漏洩する場合
    • 企業の名誉
    • 信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
    • 競業により企業の利益を害する場合
  4. 労働者は 職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識することが必要である。
  5. 企業側にもメリットがあること
    • 労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる。
    • 労働者の自律性・自主性を促すことができる。
    • 優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する。
    • 労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。
  6. 企業は、労働者が、「自身の能力を一企業にとらわれずに幅広く発揮したい、スキルアップを図りたい」などの希望を持つ労働者がいることから、雇用されない働き方も含め、「その希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要である。
  7. 特に「労働時間以外の時間」については、労働者の希望に応じて、原則、「副業・兼業を認める方向で検討することが求められる。」
  8. 企業は、副業・兼業を認める場合、
    • 労務提供上の支障や企業秘密の漏洩等がないか、また、
    • 長時間労働を招くものとなっていないか確認する観点から、
    • 副業・兼業の内容等を労働者に、当該労働者が副業・兼業先に負っている守秘義務に留意しつ、申請・届出させること「も」考えられる。(ここは各企業の就業規則をの確認が必要)
  9. 労働者は、就業規則を確認し、必要であれば変更を求めること。
  10. 副業・兼業を行い、20 万円を超える副収入がある場合は、企業による年末調整ではなく、個人による確定申告が必要である。
  11. モデル就業規則(抜粋)
    • 第14章 副業・兼業 (副業・兼業)
      1. 第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
      2. 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
      3. 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会 社は、これを禁止又は制限することができる。
        1. 労務提供上の支障がある場合
        2. 企業秘密が漏洩する場合
        3. 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
        4. 競業により、企業の利益を害する場合 

副業・兼業に関する裁判例

マンナ運輸事件(京都地判平成 24 年7月 13 日)

運送会社が、準社員からのアルバイト許可申請を4度にわたって不許可にしたこ とについて、後2回については不許可の理由はなく、不法行為に基づく損害賠償請 求が一部認容(慰謝料のみ)された事案。 

東京都私立大学教授事件(東京地判平成 20 年 12 月5日)

教授が無許可で語学学校講師などの業務に従事し、講義を休講したことを理由と して行われた懲戒解雇について、副業は夜間や休日に行われており、本業への支障 は認められず、解雇無効とした事案。

十和田運輸事件(東京地判平成 13 年6月5日)

運送会社の運転手が年に1、2回の貨物運送のアルバイトをしたことを理由とす る解雇に関して、職務専念義務の違反や信頼関係を破壊したとまでいうことはでき ないため、解雇無効とした事案。 

小川建設事件(東京地決昭和 57 年 11 月 19 日

毎日6時間にわたるキャバレーでの無断就労を理由とする解雇について、兼業は 深夜に及ぶものであって余暇利用のアルバイトの域を超えるものであり、社会通念 上、会社への労務の誠実な提供に何らかの支障を来す蓋然性が高いことから、解雇 有効とした事案。 

橋元運輸事件(名古屋地判昭和 47 年4月 28 日)

会社の管理職にある従業員が、直接経営には関与していないものの競業他社の取 締役に就任したことは、懲戒解雇事由に該当するため、解雇有効とした事案。

まとめ

具体的に、企業に雇用されている方がセカンドワークを始めるには?

  1. 勤務先の就業規則を読んでみる
  2. 副業・兼業の届け出が必要であれば、会社に申請してみる。
  3. もし会社が許可を出さない場合は、企業にもメリットがあることを添えて、就業規則の変更を求める。(仲間をつのると尚良)
  4. それもむずかしい場合は、原則、労働時間外に、セカンドワークにいそしむことは判例を見る限り、例え、就業規則に否定的な内容が書かれていても違法にはなりそうにありませんが、社内での人間関係や、その後の出世が気になる方はその確率や、生涯の費用対効果を吟味の上、やるかどうかを判断する。
  5. ベストなのは会社に話を通してから、会社に迷惑をかけない大前提のもとに、堂々と始める
  6. 収入が20万円を超えた場合は、確定申告する

第4回いかがだったでしょうか?皆さんのご意見も楽しみにしています。

ブランコ先生

商社で勤務、国内→米国→欧州を転々とし、その後起業をめざしたが失敗、いくらかの借金を負い返済した後、現在は30人位のメンバーが新規に営業や開発をしなくても、月額収入だけで給料は確保されているビジネスにたずさわっています。

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